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過去の税制(2023年)

過去の税制

2023年
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令和5年12月4日 130万円の壁と事業主の証明

厚生労働省は927日、いわゆる年収の壁の対応対策として「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しました。年収が一定額に達すると社会保険料の負担が生じて手取り収入が減少する「106万円の壁」と「130万円の壁」への対応が柱となっており、このうち、130万円の壁への対応策とされた「事業主の証明による被扶養者認定への円滑化」の適用が1020日からスタートしました。

 いわゆる130万円の壁とは、会社員(被保険者)の配偶者等が従業員100人以下の企業に勤務している場合、年収が130万円以上となると、国民年金、国民健康保険に加入し、社会保険料を支払う必要が生じることから、就業調整を行うことです。

 この現状に対する当面の対応として、事業主の証明による被扶養者認定の円滑化では、被扶養者が残業発生等により一時的に年収が130万円以上となったとしても、直ちに被扶養者認定を取り消すのではなく、「被扶養者の収入確認に当たっての一時的な収入変動に係る事業主の証明書」を提出することで、原則として連続2回まで引き続き被扶養者認定が可能となります。

同証明書を提出するには、被扶養者の勤務先から同証明書を交付してもらう必要があります。

また、同証明書は被扶養者の収入確認の時期に合わせて被扶養者が取得することになりますが、収入確認のタイミングは各保険者によって異なるため、加入先の収入確認時期を確認しておく等注意が必要です。

 

詳細については厚生労働省ホームページをご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html 

令和5年11月6日 国税庁 法人向けマイページを9月から提供開始

国税庁は919日、e-Taxを利用する法人向けのマイページの提供を開始しました。

e-Taxに登録されている法人名称や所轄税務署などの基本情報、中間申告分の法人税額・消費税額など各税目に係る情報がマイページに集約されています。今後は申告に係る届出状況の確認のために所轄税務署を訪れる手間が軽減し、法人の経理担当者はオンライン上から状況を一目で確認することができるようになります。

 国税庁は、納税者の利便性向上の一環として、e-Taxのマイページの充実に取り組んでおり、令和51月には個人向けのマイページの提供を開始し、納税者本人の基本情報や各種届出の提出状況等を確認できるようにしました。今回の法人向けのマイページも個人向けと同様の機能を備えており、「基本情報」欄ではe-Taxに登録済みの法人番号や事業内容等を一覧で確認することができます。「各税目に関する情報」欄では、申告の際に参考となる法人税関係・消費税関係に係る情報がそれぞれ表示されます。

 マイページが提供される以前は、納税者(法人の経理担当者)や顧問税理士の変更に伴う引継ぎ等が生じた場合、所轄税務署を訪れて届出書の提出状況の確認が必要なケースがありましたが、今後はマイページを確認することで、情報更新日時点での届出提出状況等が確認できるようになります。

なお、各税目に関する情報更新は年に1回で、事業年度末から概ね1ヶ月以内に行われます。

 

詳細につきましては、以下e-TaxHPをご参照下さい。

e-Tax HP「お知らせ-マイページ(法人)のご利用が可能になりました。」

https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_20230919_mypage.htm 

 

e-Tax HP「マイページ」

https://www.e-tax.nta.go.jp/mypage/index.htm

令和5年10月2日 不動産登記法改正による住所変更申請の義務化について

令和841日から「所有権の登記名義人の住所変更申請」が義務化されます。この改正は、所有者不明土地の解消に向けた令和3年の不動産登記法の改正によるものです。

 現行では、この変更登記申請は任意であり、転居等の度に所有する不動産についてそれぞれ変更登記をすることへの負担感から、変更登記が未了となりやすく、所有者不明土地の一因となっていました。

改正後は、不動産を所有する個人や法人を対象に、住所等変更日から2年以内に変更登記の申請が義務付けられ、正当な理由なく申請を怠った場合、5万円以下の過料が科されます。施行日は令和841日ですが、施行日前の住所変更等も義務化の対象となり、2年以内に申請する必要があります。

申請手続きの簡素化と合理化を図るため、登記官の「職権による住所変更登記等」を行う仕組みも創設されます。

個人の場合、所有権の登記名義人の氏名・住所・生年月日等の情報を基に、法務局側が定期的に住民基本台帳ネットワークシステムに照会します。住所や氏名の変更を把握したときは、法務局側から所有権の登記名義人に対して変更登記の意思確認を行い、本人の了解を得た上で職権による変更登記を行います。

法人の場合、法務省の商業・法人登記システムと不動産登記システムを連携し、会社法人等番号を基に住所や名称の変更を把握した場合は、法人の意思確認をすることなく職権による変更登記が行われます。通常、法人の本店の住所や名称に変更があった場合、商業・法人登記において本店移転登記等が行いますが、システム連携と職権登記制度により負担が軽減されることが想定されます。

個人と法人のいずれも、職権の変更登記が行われた時点で登記申請の義務は履行済みとなります。なお、過料の対象外となる「正当な理由」や法務局側での定期的な照会等の詳細は今後政省令や通達等で示される予定です。

また、海外在留邦人や海外投資家による不動産投資の増加を受け、所有権の登記名義人が外国居住者である場合、国内の連絡先を登記事項とする見直しも行われます。国内の連絡先は個人でも法人でも可能であり、不動産関連業者や司法書士等が想定されています。

令和5年9月5日 10月から配当課税特例の大口株主判定が変更

 令和5年10月から配当課税特例の大口株主判定が変更となりました。
 大口株主とは、内国法人の上場株式等の発行済株式総数等の3%以上の株式または出資等を有する個人株主です。
 改正前は、個人株主が上場会社から受け取る配当等について、個人株主の持分割合が3%未満である場合、大口株主に該当せず、総合課税、申告分離課税、申告不要のいずれかを選択することができました。
 改正後は、個人株主が上場会社から受け取る配当等について、個人株主の保有数と同族会社を通じた保有数の合計で3%以上保有している場合には、大口株主に該当し、総合課税の一択となります。ここでの同族会社とは、上位3株主が発行済株式等50%超を有する法人のことです。
 例えば、【参考】の場合、X社の発行済株式を保有するAは、弟のB(同族関係者)と共に1つの株主グループとみるので、発行済株式数50%超(48%+5%)として、X社は株主A及びBの同族会社に該当します。
 なお、同族会社を通じて上場株式等を保有する場合、その同族会社の株主である親族や配偶者などの同族関係者が、同じ上場株式等を保有することも考えらます。この場合の持株割合については、合算対象が、「その者を判定の基礎となる株主として選定した場合に法人税法第2条第10号に規定する同族会社に該当することとなる法人」(措法8の4①一)と規定されていることから、同族会社保有数は含める一方、同族関係者個人の保有数は含めずに3%未満か否かを判定することになります。
 例えば、【参考】の場合、Y社に対するAの持株割合は、B個人分の0.5%を合算せず、2.8%(=A個人分0.8%+同族会社X社を通じた保有分2.0%)となるので、3%未満のため大口株主に該当しません。

【参考】同族関係者がいる場合

令和4年度税制改正
https://www.azuretax.jp/free37
令和4年度税制改正 7.大口株主要件の見直し
https://www.azuretax.jp/library/5714af48f88093e32331e44e/62c7943deef121c106878ffc.pdf

令和5年8月1日 一部のコインランドリー設備等が中小企業経営強化税制の対象外へ

 令和5年度改正により、中小企業経営強化税制の適用対象資産が一部除外されました。この制度は、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者などが特定経営力向上設備等を取得等して指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、即時償却又は取得価額の7%等の税額控除ができるものです。

 今回、同税制の対象資産から除外されたのは、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業の用に供する資産で、その管理の概ね全部を他者に委託するものです。同制度を適用して、コインランドリー業等に係る設備を即時償却等し、高額な損金を作出する、いわゆるコインランドリー節税が封じられることになります。

 一方、コインランドリー業や暗号資産マイニング業が「主要な事業」に該当する場合には同税制の対象から除外されません。「主要な事業」とは、継続的に自社の経営資源を活用し、現在行っている事業や今後行う予定の事業、これらの事業に付随して行う事業に当たる場合を指します。

また、施行日である令和541日より前に受けた認定及び施行日以後に受ける認定のうち施行日前に申請がされたものに係る経営力向上計画に記載された同項に規定する経営力向上設備等については、従前通り対象資産として認められています。

令和5年7月3日 特別徴収税額通知の電子化 地方税共同機構が特設ページを公開

 令和6年度分から個人住民税の特別徴収税額通知(納税義務者用)が電子化されることを受け、地方税共同機構は62日、特別徴収義務者向けの特設ページを公開しました。電子化に伴い、eLTAX対応ソフトのシステム変更等が生じるため、同特設ページにて順次情報が掲載される予定です。

  令和3年度改正で、特別徴収義務者が令和6131日までの給与支払報告書の提出時に特別徴収税額通知(納税義務者用)の電子通知を求めれば、令和6年度分は電子データで受領できるようになります。

 具体的には、特別徴収義務者がeLTAX対応ソフトのPCdesk(ダウンロード版)から電子通知を受け取る場合は、給与支払報告書の提出時に「特別徴収税額通知受取情報」欄の納税義務者用の受取方法で、「電子データをeLTAXで受け取る」を選び、各従業員の受給者番号(企業等が任意で設定)を入力する必要があります。 

 市町村からの電子通知の受取時には、「特徴税通(納税義務者用)一覧」画面で対象ファイルを選択してデータをダウンロードします。所定の場所にデータが格納されるため、任意の出力先を指定すれば、「特別徴収税額通知書(納税義務者用)」や「パスワード取得用URL」等のファイルが取得できます。

 特設ページについては以下ご参照下さい。

https://www.eltax.lta.go.jp/news/08036 

 PCdesk変更概要について

https://www.eltax.lta.go.jp/news/08038/%E2%91%A1_PCdesk%E5%A4%89%E6%9B%B4%E6%A6%82%E8%A6%81_20230602.pdf

令和5年6月5日 源泉徴収票等を電子交付する場合の従業員同意手続きが改正されました

 令和5年度税制改正により、「給与所得の源泉徴収票」と「給与等の支払明細書」を電子交付する場合に必要な承諾手続きが簡略化されました。

 これまで、源泉徴収票等を書面交付に代えて電子メールなどの電磁的方法により従業員に交付するときには、給与支払者があらかじめ従業員等に電子交付方法の種類と内容を示し、従業員等の承諾を得る必要がありました。

改正後は、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」について、従業員から電子交付の承諾を得ようとする際、「給与支払者が定める期限までに承諾に係る回答がないときは承諾があったものとみなす」旨の通知を行っていた場合には、従業員等から承諾がなくても承諾があったものとみなして電子交付することができます。

この通知の伝達方法について法令上規定はありませんが、従業員等への確実な通知であることが必要です。具体的には、給与支払者が従業員に対して通知内容をメールで送ることや、書面で渡すことなどが挙げられますが、給与支払者が社内情報共有ツール等の投稿機能を利用し、対象の全従業員等に通知内容を投稿したはずが、一部の従業員等は閲覧できない設定等になっていた場合などは確実な通知とはいえないため、注意が必要です。

また、通知で設定する回答期限についても、法令上「何週間」といった決まりはなく、従業員等の勤務状況等を考慮し、回答に必要な期限を見積もったうえで設定すればよいこととされています。

なお、「退職所得の源泉徴収票」や「退職手当等の支払明細書」については、みなし承諾の対象外のため、従来通り従業員等からの承諾を得なければ電子交付することができません。

 

詳細につきましては国税庁ホームページをご参照ください。

国税庁「源泉所得税改正のあらまし」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023004-040.pdf

国税庁「給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQA

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/denshikofu-qa/answer.htm

令和5年5月1日 法定調書の光ディスク等による提出は事前承認が不要になりました。

 令和5年度改正により、e-Taxまたは光ディスク等による法定調書の提出が義務付けられていない方が、法定調書をe-Taxまたは光ディスク等で提出する場合は「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書」の提出が必要でしたが、令和541日以降は提出が不要になりました。これに伴い、国税庁は新様式として「支払調書等の本店等一括提出に係る承認申請書」を公表し、改正後は「本店等一括提出制度」を利用する場合についてのみ、承認申請書の提出が必要となります。

【改正前】 給与所得の源泉徴収票等を含む一定の法定調書を光ディスク等で提出する場合、一定の法人等は、調書提出の2か月前までに、承認申請書を所轄税務署長に提出し、事前承認を受ける必要がありました。事前承認が必要だったのは、(1)(2)以外の法人等です。

(1)前々年の提出すべきであった法定調書の枚数(種類ごと)が100枚以上でe-Taxや光ディスク等による提出が義務付けられている場合

(2)過去の年分で提出義務に基づき光ディスク等による調書の提出をしたことがある場合

【改正後】 光ディスク等による提出をしたい場合、上記①②以外の法人等であっても事前承認が不要となるため、調書提出前における承認申請書を提出する必要はありません。

一方、「本店等一括提出制度」を利用する場合は、従来どおり、事前に承認申請書を提出することが必要となります。

※「本店等一括提出制度」とは・・支店等が提出すべき法定調書を本店等が取りまとめて、本店等の所轄税務署長にe-Taxや光ディスク等で提出できるもの。利用には、支店等が承認申請書を支店等の所轄税務署長に提出し、事前承認を受けることが必要となります。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/hoteichosho/hoteichosho.htm 

令和5年4月3日 固定資産税の軽減制度が新設されました

令和5年度税制改正により創設された「生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例措置」が41日より開始しました。同制度は自治体から認定を受けたり、一定の賃上げ表明の要件等を満たすことで固定資産税の軽減を受けられる制度です。

  国の基本方針に基づき市町村が基本計画を策定し、事業者が導入計画を作成して市町村から認定を受けるという手続きの流れは、「生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置」(旧制度)と同じです。

気をつけたいのが、事業者は市町村から導入計画の認定を受けた後に、導入計画に基づき取得した設備が対象となる点です。導入計画の認定前に設備を取得した場合は、新制度の適用を受けられません。

  旧制度との変更点として、新制度では、工業会の証明書の取得、添付が不要になりました。ただし、投資利益率5%以上という「投資利益率要件」については、税理士等の認定経営革新等支援機関による事前確認を受け、事前確認書の発行を受けることになります。投資利益率要件を満たす投資計画と事前確認書を導入計画に添付して、市町村に提出という流れになります。

加えて新制度では、一定の賃上げ表明を証明する書類を導入計画に添付して、市町村に認定を受ければ、取得した設備に係る固定資産税の課税標準額が5年間又は4年間にわたり3分の1となり(原則は3年間、課税標準額を2分の1)、軽減率や軽減期間が拡充する点が大きな特徴です。具体的には、前事業年度の雇用者給与等支給額と比較して1.5%以上増加させる方針について、社員に表明したことを証明する書類を導入計画に添付。業庁がその書類の具体的内容については中小企業庁が検討中で、仮に表明した賃上げを達成できなかったとしても、軽減率等の拡充が取り消されることにはならないようです。

  新制度は令和7331日までの設備の取得が対象で、原則は3年間、課税標準額が減額されるが、上記のとおり、賃上げ表明をした場合は、令和63月末までの取得なら5年間、令和73月末までの取得は4年間と軽減期間が延びます。例えば、令和5年中に設備を取得した場合、令和6年から令和10年分の固定資産税が減額されることになりますので、設備投資を決めている場合は、早期の取得が有利です。

 

・対象設備の最低価額要件

1.機械及び装置 160万円以上

2.測定及び検査工具 30万円以上

3.器具備品 30万円以上

4.建物附属設備 60万円以上     

 

経済産業省「令和5年度(2023年度)経済産業関係 税制改正について」

https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2023/zeisei_k/pdf/zeiseikaisei.pdf#page=44 

令和5年3月1日 NFTに関する税務上の取り扱いについて公表されました

国税庁は113日、『NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)』を公表しました。

 NFTとは、先月ご紹介した暗号資産とは異なり、唯一の性質を持つブロックチェーン上のトークンのことです。データの真贋性を担保する機能を持ち、デジタルアート等に活用されています。

  このFAQ15問で構成され、問18で所得税・法人税関係、問9で相続税・贈与税関係、問10で源泉所得税関係、問1112で消費税関係、問1315で財産債務調書・国外財産調書関係が扱われています。

  財産債務調書について、保有しているNFT1231日時点で暗号資産等の財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、記載が必要とされました(問13)。NFTの種類別(アート、音楽、スポーツ、ゲーム等)、用途及び所在別に、「財産の区分」欄の中の「その他の資産(上記以外)」として記載することになります。なお、金額はその年の1231日の時価又は見積価額によるものとされ、見積価額として適正と認められる売買実例価額等が認められています(問14)。

  一方、国外財産調書についてNFTは記載の対象ではないとされています。NFTは財産を有する方の住所の所在によって、国外にあるか否かの判定をする財産であるからです。そのため、居住者が国外のマーケットプレイスでNFTを購入しても、国外財産調書ではなく財産債務調書への記載対象となります(問15)。

  詳細につきましては、以下をご参照ください。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0022012-080.pdf 

令和5年2月2日 法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いが公表されました

国税庁は120日、「法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて(情報)」を公表しました。

  国税庁が公表したFAQの内容は次のとおりです。

 問1.暗号資産の期末時価評価

問2.期末時価評価の対象となる活発な市場が存在する暗号資産

問3.DEXにおいて取引される暗号資産

問4.ステーキングのためロックアップした暗号資産の期末時価評価

問5.貸付けをした暗号資産の期末時価評価

問6.借入れをした暗号資産の期末時価評価

基本的な考え方として、法人が事業年度終了の時において活発な市場が存在する暗号資産を保有する場合には、時価評価した金額を評価額とする必要があるとしました。(問1)

なお、期末時価評価の対象となる活発な市場が存在する暗号資産とは、継続的に売買価格等が公表され、かつ、その売買価格等が暗号資産の価格又は交換比率の決定に重要な影響を与えていること等とされています。(問2)

  また、分散型取引所(DEX)での取引について、自動マーケットメイカーによって現時点における暗号資産の交換比率が明らかにされ、その交換比率に基づき、随時、交換の取引が行われている場合、交換比率が他の暗号資産取引所で公表される交換比率と著しく異なるといった特殊な事情が認められず、継続的に暗号資産の取引が成立しているのであれば、期末時価評価の対象であるとされました。(問3)

  問4では、法人がステーキングによる報酬を得るため暗号資産の移転を凍結(ロックアップ)した場合、その保有する暗号資産は譲渡できない状態となっていますが、ロックアップ期間中にステーキング報酬を得ることができます。また、その保有する暗号資産の将来的な価格変動リスクをその法人が負うため、自己の計算において暗号資産を有するものと考えられることから、法人税法上の期末時価評価の対象となり、評価額と帳簿価格との差額を益金の又は損金の額に算入すること等が示されました。

  なお、令和5年度税制改正の大綱(令和4年 12 23 日閣議決定)では、暗号資産の評価方法等について、次の見直しを行うこととされております。

① 法人が事業年度末において有する暗号資産のうち時価評価により評価損益を計上するものの範囲から、次の要件に該当する暗号資産を除外する。

イ 自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものであること。 ロ その暗号資産の発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が行われている                  ものであること。

() 他の者に移転することができないようにする技術的措置がとられていること。

() 一定の要件を満たす信託の信託財産としていること。

② 自己が発行した暗号資産について、その取得価額を発行に要した費用の額とする。

  詳細につきましては、今後、法令等により明らかにされます。

 「国税庁 法人が保有する暗号資産にかかる期末時価評価の取り扱いについて(情報)」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/230120/index.htm  

令和5年1月10日 『令和5年1月以降、入札資格申請等で納税証明書の添付不要に』

令和51月以降、各省庁と国税庁とのシステム連携により納税情報の自動添付が可能となりました。それにより、一部の手続で納税証明書の添付省略が可能となります。

  納税証明書は、公共事業の入札や金融機関の融資等の場面で提出を求められることがあり、書面交付だけでなく、e-Taxからオンライン交付請求をすればPDFデータでの電子納税証明書の交付も受けられます。

  対象となる手続は、以下の2点です。

 ① デジタル庁所管の全省庁統一資格

 ② 国土交通省所管の建築業許可関係及び経営事項審査関係の申請

  ①の全省庁統一資格とは、物品の製造・販売等に係る一般競争の入札参加資格のことで、全省庁の入札で有効となり、調達ポータルから申請を行う際に、申請者の納税情報について国税庁のシステムと連携が可能となります。

  ②の建築業許可申請等では、現行書面申請のみとされるところ、令和51月から受付を開始する電子申請システムで同様の連携を行い、これにより従来のe-Tax等を通じた納税証明書の取得が不要となります。

  なお、申請者が上記①、②の各申請システム上で納税情報請求を行うと、国税庁システムとの連携により申請者の納税情報を自動で取得でき、各省庁のシステムに申請送信を行う際に添付されます。取得に当たっては、e-Taxの利用者識別番号が必要ですが、手数料は不要となります。

 ただし、納税情報は納税証明書とは異なり、金融機関の窓口で納付した直後など、国税庁システムに納税情報が未登録の場合は、内容が反映されません。

  詳細につきましては、以下をご参照下さい。

国税庁「納税情報の添付自動化に関するQA

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/pdf/nozei-joho_qanda.pdf

 デジタル庁「オンライン化を実施する行政手続の一覧等」132頁、133

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5ecac8cc-50f1-4168-b989-2bcaabffe870/b7936e5c/20220607_policies_priority_outline_13.pdf