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平成25年税制改正においては死亡保険金の非課税枠の縮小は見送られました。
死亡保険金は亡くなった人の財産ではありませんが、亡くなった人が保険料を支払っていた保険はみなし相続財産となり、相続税の課税対象となります。ただし、法定相続人数×500万円までは非課税枠となり、相続税の課税対象から外れます。平成25年税制改正では、この非課税枠の撤廃が検討されていたようですが、結果的には継続となりました。
財産を死亡保険金に移すことにより、非課税枠の取得と納税資金の確保が見込めます。相続発生前の対策として有効です。
死亡保険金を相続人が取得すると相続により取得されたものとみなされますが、法定相続人1人につき500万円までが非課税になります。つまりこの非課税枠の分だけ相続財産の評価額を下げることができます。現預金のまま持っていると相続財産となりますが、これを生命保険の死亡保険金として受け取ることにより控除を受けることができ、有利になります。
この対策として典型的には一時払い終身生命保険への加入が考えられます。保険額は一時払い額に定期預金金利が付された程度のものとなりますが、非課税枠を享受できます。低金利である昨今、一時払い終身を扱う生命保険会社はあまり多くありませんが、高齢でも加入でき、かつ診断・告知等が不要なことが多いようです。
一時払い終身生命保険へ加入のデメリットとしては早期解約すると返戻金が払込額を下回ることがある、インフレが生じた場合対応できないことなどが挙げられますが、活用を検討されてはいかがでしょうか。
相続人間の相続に係る争い、いわゆる争続への対応は、被相続人の意思を遺言書で遺しておくことが最も有効ですが、生命保険を活用することで遺言と同じ効果を得られます。
生命保険の死亡保険金は受取人固有の財産となるため、遺産分割協議の対象から外れます。分割の対象からは外れますが、「みなし相続財産」として相続税の課税対象にはなります(500万円×法定相続人数の控除はあり)。
あまりにも高額な生命保険金である場合も遺産分割協議の対象から外れるかについては、相続人間の不公平を是正する見地から最高裁判決(H16.10.29)により、相続人間の不公平が「到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」には特別受益という考え方で是正されることがあるため注意が必要です。
生命保険は納税資金としても活用できますが、どちらかというと死亡リスクの少ない若年層で、かつ企業オーナー等の資産家での活用が想定されます。
たとえば5億円の相続財産がある場合(生命保険を除く)、遺産を無傷で相続するのに必要な保険金額は約7000万円程度です(配偶者と子供2人の場合)。
高年齢の場合当然に保険掛け金が上昇し受取保険金額との差が縮まります。また加入対象年齢から外れることもあるでしょう。上記非課税枠の活用、争続対応としての生命保険は活用はすべきですが、納税資金の確保にはあまり役立たないかもしれません。
納税資金の確保は、相続税額の低減、遺産分割とならぶ相続時の大きなテーマのひとつです。不動産やオーナー株がもたらす相続財産の高額評価に耐え得る納税資金の確保は、常に予見・検討しておかなくてはならないでしょう。