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令和7年1月17日 新NISA2年目の税制改正

新NISAは2024年1月の改正で「年間投資枠が最大360万円」「非課税期間は無期限」「保有限度枠1800万円」などと、旧NISAに比べて制度が大幅に拡充されました。老後資産や住宅・教育資金向けなど、長期の資産形成に使い勝手が良くなったことから、「新NISAで投資を始めた」という人も多いことでしょう。

金融庁によると、新ルールがスタートして半年経った昨年6月末時点でNISA買付額の合計は10兆円超、口座数は2400万を超えたようです。投資ブームの過熱に呼応するかのように、同年7月11日に日経平均株価は史上最高値の4万2224円を記録しました。しかし、昨年8月5日には日経平均が3万1000円台まで下がり、バブル期のブラックマンデーに次ぐ下落率を記録したことから、一時的に「NISA詐欺」などの悪評も聞かれましたが、その後は値を戻し、年末まで3万9000円前後で推移しています。長期的に見れば、昨年の大暴落は瞬間的な「ノイズ」に過ぎませんでした。

一方、令和7年度税制改正では、NISAの利便性の向上が行われる予定です。

一つ目は「NISA口座(勘定)は、金融機関変更手続の実施日に設けられることとし、即日買付を可能とする」というものです。仮に二重口座等であった場合には、変更手続時まで遡って課税口座(特定口座又は一般口座)へ移管するとされます。以前に銀行から頼まれてNISA口座を開設していたのに稼働しておらず、改めて証券会社で新NISAをやろうとしたところ二重になるので口座開設ができず、投資熱が下がってしまった、ということが解消されます。

二つ目は従来の買付方法(定額買付)による最低取引単位を「1千円以下から1万円以下に引き上げる」というものです。顧客が取引を開始できる最低額を低く設定する程、少額からの投資が可能となりますが、「1千円以下」の要件は、買付金額としては小さすぎるため、現状、証券会社等による取扱が進んでおらず、却って顧客の利便性を損なうこととなっていたことを改めるということです。こうした買付方法の柔軟化を通じ、より多様な商品の提供が期待されます。

新NISA2年目を迎えるにあたり、知っておきたい改正動向です。

令和7年1月8日 中小企業関係税制の改正

令和7年度税制改正大綱は、103万円の壁をめぐり、少数与党と国民民主党の協議が整わない中で閣議決定がなされましたが、このテーマに隠れて中小企業向けに新たな税制が創設されそうです。「売上高100億円超を目指す」成長意欲の高い中小企業への優遇税制です。

 政府の認識では、物価に負けない賃上げを定着させることで、賃上げに支えられた消費の増加が企業収益を押し上げ、さらには家計への還元につながるという「賃金と物価の好循環」を安定的に実現していくためには、生産性の向上が不可欠である、としています。

特に、雇用の7割の受け皿になっている中小企業では、収益力が弱い企業は賃上げも困難な状況にあり、適切な価格転嫁に加えデジタル化等の投資を促進していく必要があります。中小企業は、雇用の7割を抱える、わが国にとって重要な経済主体であり、その健全な成長が地域経済の維持・発展のために不可欠ですが、小規模事業者やスタートアップ企業、さらには地域経済を牽引する企業や大きな成長力を有する企業など様々な態様があります。その中でも、売上高100億円を超えるような中小企業は、輸出や海外展開等により域外需要を獲得するとともに、域内調達により新たな需要を創出する地域の中核となる存在であり、そうした企業を育成することで、地域経済に好循環を生み出していくことが鍵となります。

そのため、「売上高100億円超を目指す」成長意欲の高い中小企業が思い切った設備投資を行うことができるよう、中小企業経営強化税制を拡充し、対象設備に建物を加えることになりました。「目指している」というためには、売上向上のための施策及び設備投資時期を示した行程表(ロードマップ)を作成していることなどが要件とされていますが、前向きな中小企業を後押しする制度は有意義です。